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ダーク・ハーフの海のレビュー・感想・評価

ダーク・ハーフ(1993年製作の映画)
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映画化を視野に入れて書かれているであろうキングの小説は、そこで終わってしまっても本当に何も問題ない。『スタンド・バイ・ミー』には映画以上に生と死が織り成す圧倒的なイメージが言葉の中にあったし、『シャイニング』はキューブリック版と比べると視える世界がまったく違う、画面に映し出される映像の隅から隅までを舐め尽くしていくような完璧な言葉の羅列なのだ。だから、言葉を裏切らない映像化が、映像を裏切らない言語化にシフトされているような、時々そんな錯覚に陥る。そっくりな2つのもの。それが引き裂かれた1つであること。同じ根が支えている、光と影、善と悪、わたしたちの中に眠っているはずの天使と悪魔。ありとあらゆるものを光と影に当てはめてきた現代社会を風刺しながら、その光と影に当てはめられたこの世のすべてのものたちを哀れみ慈しむ作品でもあるのかもしれない。 帰りに最寄りのTSUTAYAに寄って映画を選んでる時に棚の向こうに居た男性が店員さんに「グリーンマイルあります?」って聞いていて、ちょうどわたしが見ていた棚に置いてあったからレジに戻ろうとする店員さんに「あの!ここですよ」って声をかけた。わたしは今夜『ダーク・ハーフ』をついにようやく観てやろうと心に決めていたのでスティーブン・キングつながりだ!と勝手に嬉しくなって、そこで一日の運命が完成に一歩近づいた気がして嬉しかったです。
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