Myon

天使の入江のMyonのレビュー・感想・評価

天使の入江(1963年製作の映画)
3.4
「英国人の散歩道」が、独特の撮影と印象的な楽曲に彩られたオープニングがハイライト。この曲何度も本編に使い回されているせいで〜主人公が調子乗ってるときのテーマ〜みたいになっているのには笑った。
貧しいながら真面目に働く銀行員がギャンブルと謎の美女と出逢い…というお話とは思えないほど淡々とした作品。妙に良いテンポが主人公の前途を暗示しているようだ。

とはいえこの映画、ルーレットの魅力や賭けの恐ろしさを伝える意図はないと思う。まるで根拠の無い運命(ツキ)を信じ、その糸に雁字搦めの人々は滑稽であるのと同時に魅力的にも映る。手段のため目的を選ばないというか手段が目的になっているヒロインの台詞には、ギャンブル狂の妄言と一蹴できない輝きがあった。

演じるジャンヌモローは「どうした?」って感じのプラチナブロンド。最初は白髪みたいと思ったけど、アイコン的インパクトはおおいにあった。 ヒロインの衣裳はピエールカルダンだが(お金擦っちゃうから)ほぼ一張羅という設定なのがらしくて良い。なんだかんだでいつものスーツに戻る全身白の彼女と、黒っぽい主人公の対比は白黒映画に映える鮮やかさだ。
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