カトー

五月のミルのカトーのレビュー・感想・評価

五月のミル(1989年製作の映画)
4.0
フランスの五月革命を背景に有産階級の母の死去に伴う、葬儀と遺産相続、様々な人間模様が、エスプリをもって語られる。ルイ・マル監督にとって、映画製作もすでに円熟期に達しており、政治的な姿勢を強く主張するような事はせず、古い世代のブルジョアと若い世代の労働者階級の対立を、一定の距離をおいて描いている。裕福な家庭に生まれたマル監督にとっては、五月革命の狂騒も裕福な家庭の愚かしさも、同じような距離感で見つめる事が出来たのかもしれないですね。フランスの豊かな自然の中、親族が集まり、ゴタゴタがありながらも再び日常の生活に戻るために散らばっていく、あの何だかな寂しい感じは、国が違っても同じなんだなと思いました。
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