mingo

五月のミルのmingoのレビュー・感想・評価

五月のミル(1989年製作の映画)
3.7
100%ORANGEが描くチャリに乗った主人公ミルのジャケットが良すぎな本作は、1968年の五月革命を背景にしながら、遠く離れた田舎の屋敷で、遺産分配にドタバタしている家族を描いたコメディの佳作。

会話の内容の9割が食や性のことで、金持ち貴族うぜ〜て思うのだが、ブルジョワのブルジョワゆえの身勝手さや楽観的な行いを見ているうちに不快感は不思議となくなっていく。。。

「結婚は恋愛の墓場なり」「趣味で職業を選ぶ」と言い放つその気楽さ、正直さにフランスの田舎町ののんびりとした美しい風景があいまってなんだか楽しそう〜良いな〜と思ってしまう。つまり骨の髄まで享楽主義がしみついたブルジョア階級の、優雅なようで滑稽な行動様式を眺めて笑うしかない。しかし非常事態でもロマンスや遊び心を忘れないこの人達の生命力からは見習うものがある気がする。真面目すぎてしまうじぶんを戒めたい…

そして慌てふためき、五月革命と同じようになにも変わらずみなそれぞれの家に帰る。ミルだけがひとり寂しく家に帰るとある人が軽快なピアノを奏でているのだが、このエンディングだけでも見る価値はあったなぁなんて思った。素敵だな〜

「心地よい風、太陽、五月。女の胸に触りたい」と言って胸を触らせて、ブラボー!!て拍手するおフランス流ギャグには絶句である。生まれ変わるならトマトさえあれば元気になるフランス人になりたい次第である。
mingo

mingo