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赤死病の仮面のhorahukiのレビュー・感想・評価

赤死病の仮面(1989年製作の映画)
3.1
愛と欺瞞!

全身真っ赤なステキビジュアルの殺人鬼(ジャケ左下)が仮面舞踏会の参加者たちをkillしていくスラッシャー。ポーの傑作『赤死病の仮面』の映画化なのだけど、原作の雰囲気をぶち壊し、自らポンコツ街道を邁進するというポンコツであることの意地と熱意を感じさせる清々しいポンコツホラー!!

というか何故にスラッシャー!?😱
1964年のコーマン版は原作通りなゴシックホラーだし、そもそも原作がスラッシャー要素なんてカケラもないのに、あの歴史的傑作をザ・80年代なありがちスラッシャーに魔改造しちゃう勇気に感服!!何でコレで行けると思ったの…😱絶対原作読んでないでしょコレ。

コーマン版だけを見て真っ赤なステキビジュアルにときめいちゃったのかな。そんで80年代の流行りである仮面殺人鬼に再利用した…みたいな😅でも実際に殺人鬼のビジュアルで勝ててる感があるからズルい!

金持ちジジイが死の間際に楽しんでやろうと沢山の人を集めて仮面舞踏会を開催。客人はセレブだらけなのだけど、みんなジジイが援助してくれたからこそ今の地位がある人たちばかり。でもそれぞれが落ち目に差し掛かっていて、ジジイの寵愛を受けようとマウント合戦。そんな嫌な雰囲気の中、死者が出始める…。

『サイコ』みたいなナイフの振り下ろしだったり、同じくポー原作の『恐怖の振り子』のような振り子の刃が体を切り刻んでいくシーンだったりと凝った殺害演出があったかと思えば、いきなりターゲットとフェンシングバトルし始めたり(しかもターゲット優勢😅)、ポッター顔負けの人間チェスしたりとかの笑える間抜けシーンもあったりとそれなりに面白かった気がする。

他人に与えられた偽物の人生と本質的な自分とのズレに行き詰まりを感じるブルジョワな人々が、そのズレという違和感により滅ぼされていく…という主題的なところは良かったし、そういう意味では何か惜しい作品…😓
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