丽遥

わるいやつらの丽遥のレビュー・感想・評価

わるいやつら(1980年製作の映画)
3.8
最後森英恵出てきて草。この大御所感よ。槙木邑は馬里邑のことだな。森英恵って小津安二郎作品から日活まで色んな作品の衣装担当してるのに、クレジットされてないから記録に残ってないの痛すぎる😭

登場人物軒並み悪いやつだけど、最後に笑うやつが誰もいないのがすごすぎる、みんな自分の利益を求めて動いていたはずなのに、、。強いて言えば梶芽衣子が1番痛手を追わずに済んだ感じか。女囚さそりと合わせて悪女、というか強かな女の系譜にあるといってよさそう。宮下順子もまあ途中まではすごかったけど、動機が主人公への愛だから共倒れだなあ。最後裁判で自分の言い分が全然通ってなくて可哀想だった。松坂慶子は深作欣二作品の天真爛漫キャラじゃないのが意外だった。彼女が黒幕みたいな風にもとれるけど、電話で脅されたり、そもそも好意を抱いてきたのは主人公からだったから彼女もまあまあ翻弄されていたといえるだろう

疑惑といい、松本清張物は強い女が出てくる感じがあるから色々見た方が良さそう。サスペンスという点でフィルム・ノワールとも通ずるし。80年代のファム・ファタール表象が何に起因するかを松本清張を起点として時代背景考えられそう

映像表現としては、宮下順子が毒入り注射針を打つシーンとダンスホールのシーンのライトの点滅がクロスカッティングだけど連動しているのが面白かった。サスペンスとロマンスは表裏一体なんだというこの映画の主題を端的に表している表現のような。わるいやつらは悪い恋愛したいからしてるんだよな。あと宮下順子が車のライトに照らされてばっと出てくるところほんと怖かった

プロットも複雑に入り組んでて、なのにわるいやつら全体でまとまった事件になってるのあっぱれすぎる。ラストの一件は原作にはなかったみたいだけど、この事件のおかげでまとまったなって感じ!
丽遥

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