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袴田巖 夢の間の世の中のしょうたのレビュー・感想・評価

袴田巖 夢の間の世の中(2016年製作の映画)
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報道で「拘禁反応」の一言で説明される袴田さんの意識障害の状態がどのようであり、どのような心の世界を生きているのか、その末端に幾らかでも触れたように思わされる貴重な記録。

最初と最後に紹介される獄中の袴田さんの手記は、自らの内面を明晰に言語化していて驚かされる。

死刑の恐怖はただの死の恐怖ではない、と今さら気づかされた。
死刑とは、自分には生きる権利も価値もないと国家から言い渡されることであり、自分の命を丸ごと否定されることだから。

その恐怖を生きた袴田さんを支えたのはコミュニティだった。それは家族であり、支援者仲間であり、ボクシング界でもあった。
袴田さんを支えることに後半生を費やした姉のひで子さんのしなやかな強さ。
埋もれた冤罪はたくさんあったに違いない、でも自分たちはあきらめなかった、と。

出所から一年後、袴田さんが穏やかな暮しの中で少しずつ表情の豊かさを取り戻す様子も映画は記録している。
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