クロスケ

アンドロイドのクロスケのレビュー・感想・評価

アンドロイド(1982年製作の映画)
3.5
もうクラウス・キンスキーが出てるだけで不気味というか…。何やら邪なことをしているに違いないと思わざるを得ません。挙句の果てに、あんなことになってしまうもんだから…顔が怖いんですよ。
ジャンルとしてはSFなのですが、うっすらと漂うホラー風味はキンスキーの存在が担っているのではないでしょうか。

独りぼっちで人形遊びをしていたり、スーツケースを取り出して荷造りを始める件など、アンドロイドのマックスの悲哀がそこかしこに描写され、
感情を持ったアンドロイドと人間とのやや歪な信頼関係が、ネガティブな形で浮き彫りにされます。
このような関係性は、前年に公開された『エイリアン』、同年の『ブレードランナー』、後の『ターミネーター』などにも見られ、このジャンルの一つの定型を形作っていると言えます。(鳥山明の『Dr.スランプ』などはその逆説的なバリエーションでしょうか)

基本的なSFの構成要素を押さえつつ、登場人物たちに降りかかるトラブルやロマンスを織り交ぜながら、余計なことはしない、必要最小限のカメラワークと編集で、きっちり80分で物語を収束させる姿勢は称賛すべきです。
B級ではあるけれど、B級であることの誇りに満ちた誠実な映画だと感じました。
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