大人になりきれない、結婚することによって背負わなければならない人生の重みから逃げ出した平凡な社会人が、その日暮らしのクズと共に人を欺き金を騙しとり女を買い無責任で無軌道な日々を過ごしていくうちに次第に痛む心が麻痺していき、どうにもならなくなったときにはオシマイで、婚約者を怒鳴り散らして老人を殺人未遂して帰る道も見えなくなって共犯者である友にも愛想を着かされ、なにもかも失って惨めに取り残されて、ただただ寂しく映画にも見放されて終わっていく。
能天気でバカ騒ぎの二人旅が徐々に泥沼化していき取り返しのつかない地獄に足を踏み入れていく最高にやりきれない70年代アメリカ映画。『フリービーとビーン』とテイストは似ているので、このあたりのどん詰まり感が好きな人ならたまらないと思う。
『真夜中の青春』の役柄を引き摺っていそうなボー・ブリッジスのあの捨てられた子犬みたいな切ない表情、見ているだけでぐっときてしまう。