tomtom

マルコヴィッチの穴のtomtomのレビュー・感想・評価

マルコヴィッチの穴(1999年製作の映画)
3.0
有名俳優の「頭の中」に繋がる謎の穴を見つけたことで、人生の歯車が狂い出していく人形使いとその妻を描いた物語。

かなり尖った作品のように思えたところ、娯楽性という意味ではそれほど期待せずに観たのだけれど、内容も中々楽しめる映画だった。今でこそ、VR技術の発達で、他人の生活を疑似体験することも遠からず可能になるだろうと感じるが、この映画が作られた2000年には、まだまだ夢のような話だったかもしれない。知らない他人の見る景色を覗き込むだけで自分の性自認を疑ったり、逸脱といって良いようなファンタジーを夢想したりと、狂いだしていく登場人物達。ただし誰よりも可愛そうなのは、脳内を覗き見られるだけのマルコヴィッチである。

後半は急展開ながらにある程度予測できるような内容で、サスペンスとしてお勧め!ということはないのだけれど、独創的な展開に、登場人物らのアブノーマルな心の動きが妙に魅力的な映画だった。
tomtom

tomtom