悪魔の毒々クチビル

ジュラシック・キッズの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

ジュラシック・キッズ(1993年製作の映画)
4.0
「イカれたらこうなるんだよ!!」

成り行きで手の平サイズの恐竜たちを世話する事になった一家のお話。


最近U-NEXTで配信された旧作。
1993年に製作されたキッズ向けのファミリー映画です。
一応3作あって2は「リトル・レックス」の邦題で日本版が存在しますが、こちらは今のところVHSのみでそっちも軽くプレミア付いています。物語自体は繋がっていないようですが。
監督はチャールズ・バンド&アルバート・バンド。チャールズの方は「パペットマスター」シリーズや「ジンジャー・デッドマン」と言ったこれまたパペット関連のホラーを手掛けています。

俺は幼い頃から恐竜が大好きで、この前投稿した「リトルフット」とか「ジュラシック・パーク」とか「ダイナソー」とか一通り恐竜映画は子どもの頃観ていたつもりだったんだけど、今作はマジで知らなかった。
で、観てみたら絶対幼少期の自分が好きなやつやん!とね、何故あの当時今作にたどり着けなかったのかと後悔するくらいには良かったです。

骨董屋の性悪主人リコが南アメリカで原住民が保管していた不思議な卵を強奪するも、お店に化石を売りに来ていた主人公一家の愛犬が間違えて卵入りのクーラーボックスを持ってきてしまい、結果彼等の家で恐竜が孵り一家が飼育する…な流れ。
ずっと冷凍保存されていたのが原因でティラノサウルスだろうがブラキオサウルスだろうが、小型犬よりも更に小さいサイズで産まれてきたと言う謎理屈は置いておくとして、このミニマム設定はこういったキッズ向け映画、そしてパペット映画と非常に相性が良いのです。

ちびっこ恐竜たちの可愛らしい懐き具合はこう言うアナログなやり方だからこそ出せるものであり、音楽にのって踊るむっちゃ微笑ましい姿が観られただけで充分観た甲斐があったと思えます。

一家のキャラも好きで、特に姉弟はどちらも年頃ながらウザすぎない塩梅が丁度良い。
大のエルヴィス・プレスリーファンであるジュリーがTレックスにエルヴィスと名付けたり、姉モニカは一番懐くプテロダクティルスにマドンナと名付けたりと、恐竜たちに各々有名アーティストの名前を付けるくだりがこれまた微笑ましいですね。
モニカはジュリーと違って博物館で化石見るくらいならディズニーランド行きたい系女子なので、恐竜飼うの反対なのかと思ったらすぐに「めっちゃカッコいいじゃん」と気に入ってくれて血筋かなと。
母親を数年前に亡くしていて、お父さんの新たな恋愛に最初否定的だったりと家族の物語もある程度しっかり描いていました。
その新しい恋人ヴィッキーも良い人なんですよね~。

一方で強欲オーナーのリコを演じるのはこれまた名作人形ホラー「ドールズ」に出演していた、スティーブン・リー。あちらでは心優しい役柄でしたが、今作は「俺のクーラーボックスはどこだ!!」と半ば半狂乱になって暴れるコミカルヴィラン。
終盤には「ホームアローン」の泥棒ばりの謎のバカ二人を引き連れて一家を襲撃します。

ジュリー役には個人的に好きなシュワルツェネッガー映画トップ5に入る「ラストアクション・ヒーロー」で、シュワちゃんの映画に入り込んだ少年でもあったオースティン・オブライエン。
モニカ役のサマンサ・ミルズは凄く美人だったんだけど、これ以外はほぼ出演作が無いようで残念。

あくまで子ども向けなのもあってやや強引な進行具合だった箇所もありましたが、そこまで気にならない良作でした。
恐竜と一致団結してピンチを逃れるくだりなんかがあれば尚良かったですが、清掃員のおじさんの活躍も悪くはなかったです。
いやマジで子どもの頃に一回は観ておきたかったなぁ。