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タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密のBlueのレビュー・感想・評価

4.5
推理小説家、脚本家で有名なアンソニーホロビッツの「殺しのライン」という好きな小説を久々に引っ張り出して出張に行ったのですが、この本の中でホロビッツはスピルバーグとロードオブザリングで有名なピータージャクソンの依頼で、タンタンの冒険2の脚本を執筆中という事になっています。
そこでワシントンポーという元刑事で他のドラマの監修をしている人間からある依頼がされる、、、というのが殺しのラインの冒頭なのだけど、読みながらそういえばタンタンの冒険のCG版を見てなかったなぁと思い、子供と見ました。

これは友人からスピルバーグの作品の中で最も悪い出来だ、という酷評を聞かされていたし、個人的にスピルバーグの作品は好んで見る方ではないので、そうなのか、と思って敬遠してました。

で、見たのだけど俺は相当楽しめました。というかスピルバーグの作品の中でも1番好きかも知れないw。
これベルギーに行った事がある、あるいはベルギーに詳しいか、でかなり印象が変わると思います。
あの石畳の道路、朝靄/あさもやが立ちこめて周囲が見えないブリュッセルの街並み、あの街灯、スピルバーグは徹底的にこだわっている。

正直、雰囲気まで映り込んでいてビックリしました。このこだわりようは凄いし、スピルバーグのなんたるかを見た気がしました。いや恐れ入った。
問題のタンタンやハドック船長の顔が絵本に似てないというところは苦笑いするしかない。確かに絵本のタンタンには似てないけど、実際にベルギーにはあの顔立ちの子はかなり見かけるし、オランダ圏の方に行ったらハドック船長のような顔立ちの人も見かけます。

つまり絵本ではなく実際にいる人間の顔立ちに寄せてCG化してるという事です。
後半の怒涛のアクションシーンはさすがスピルバーグ、インディジョーンズなみに見せ場を立て続けに繰り広げて良かったですね。
ジョーズっぽいところもあったりしてスピルバーグは海に陸に、と好きな事を存分できるという事で楽しく作れたのではないかなと思います。

タンタンの冒険の絵本はシンメトリー/左右対称だったり構図にかなりこだわった作風で知られていますが、そこも忠実に構図にこだわり、ストーリーは改変されたとはいえあの絵本を読んでるようなワクワク感は変わらず堪能できました。

ベルギーは日本では馴染みがあまりないけど、かなり面白い文化です。隣国のフランスとベルギーどっちに行きたいかと言われたら迷わずベルギー🇧🇪を選びます。
フランス、オランダ、ドイツ圏で地域がバラバラでまとまりに欠けるところがあるのだけど、仕事を得るためには英語は欠かせなかったり、国民の多くは2カ国語は話せたりします。
文化人も多く輩出してるし、サッカーも前回のW杯ではヨーロッパで一位通過して国で、優勝してもおかしくない実力の国でした。
テクノが好きな人ならシャーロットデウィッテやアメリーレンズを知っているのですが、日本では人気がない💥💥

とにかく優秀なのに地味なのがベルギーなんですが、面白い国です。ビッグバン理論のジョルジュルメートルもベルギーだと思ったが、、

ちなみにタンタンの冒険のアニメはAmazonプライムで見れます。この映画のあとタンタンの冒険のアニメを見ましたが、エピソード8では第二次世界大戦中の中国の南京の様子が描かれています。日本兵が偉そうにしているのですが、ヨーロッパの視点といえばいいか、かなり興味深く見ました。

差別的な表現があってタンタンの冒険は敬遠する方もいらっしゃるみたいですが、仮に30年後の子供達が2024年の映画などを見たら、女性蔑視やLGBTQに対する理解がなさすぎてこの時代の価値観の映画を見るのはやめる、と言われたらどうでしょうか。
その当時の環境、時代、それを知る事はとても大切な事だと思います。
タンタンの冒険を通してどう世界を見ていたか知る事は実に有意義だと思うので、こちらもオススメです。
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