くりふ

トゥー・ラバーズのくりふのレビュー・感想・評価

トゥー・ラバーズ(2008年製作の映画)
4.0
【電車男になれなかった男】

内緒で風俗行っちゃったような後ろめたさがあるので、先に告白します。グウィネス・パルトロウさんのおっぱい目当てで借りました。ごめんなさい。はい、懺悔終了。

なぜ劇場未公開? と首を傾げるほど、きっちりつくられた映画でした。まあ、ありがちですが、興業的には地味なのでしょうね。

実年齢30代半ばでも、オヂサン度40過ぎ? なホアキン・フェニックスと、『アイアンマン』ほどメイク詐欺しないグウィネス・パルトロウのラブ話。

でこのラブ、多くの観客が求める甘さは控えめで、塩味効いてますからね。ホアキンの悶え、を地味に追いかければ、しょっぱくなって当然なのですが。映像的にも、ブルーが基調に感じられる、ちょっとした寒さがあります。

恋愛感情なんていい加減なもん、というお冷やな視点が普通にあれば、皮肉の効いた人間観察物語として、親しめると思います。

冷静にみれば、紋切り型大全集みたいな展開なのですが(古典的な名残があるのは、元ネタがドストエフスキー「白夜」だから?)、抑制効いた演出と、何よりホアキンの好演に求心力があり、気になりません。

あとユダヤの文化・慣習が、いい具合に物語のアクセントになってますね。

『裏窓』の系譜を引き継ぐような、アパートの窓を介すラブ育てはよかった。やっぱり覗きと直結しどこか扇情的で、その先にグウィネスパイがある(笑)。

でも惹かれる女性としては、グウィネスよりヴィネッサ・ショウさんでした。この二人の間でホアキンが、ホアキンのくせに揺らぐわけですが、私ならヴィネッサさんを選びますねえ。何よりおっぱいサイズが断然…い、いや人物的・状況的に、彼女との方が、楽園構築できるかも率高いもの。

でも「恋愛感情なんていい加減なもん」だからこそ揺らぎドラマが生まれ、ホアキンなに自分から地雷踏むねん、というハラハラが出てくるわけで。

愛してるだのしてないだのって台詞がやっぱり、出てきますが、作り手が、その言葉を疑うからこその面白さが、ここにはあると思います。

実際、奇妙なねじれの後、物語は落ち着くべき処に着地するように見えて、その先、愛がどこに向かうかはまだ見えない。エンディングから逆算して、人物のある部分を薄く描き、隠した狙いが効いているようにも思いました。

やっぱり人は「愛してる」だけじゃ生きられないですねえ。…当たり前か(笑)。

ちょっとショックだったのは、イザベラ・ロッセリーニさんの、見事なおばあさま化。『ブルー・ベルベット』の毒々しいエロスは何処へ…。それでも、老いても美女は美女、だったので感心しちゃいましたが。

<2011.11.23記>
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