このレビューはネタバレを含みます
【 もう恋なんてしたくなくなる 】
その涙が嬉しいものとは限らない。
そのギフトが初めからあなたのものだったとは限らない。
必ずしも相手が第一志望の人とは限らない。
作品による感情の伝染が凄まじく、恋愛の悲劇がてんこ盛り。
なんだか愛の方向や人間関係が、クリーニング店の洗濯機でごちゃ混ぜに回されるような状況。ただしスッキリ洗われるということではない。逆だ。心が晴れない日が何日も続き、生乾きの状態が続く。恋愛でいうと、失恋、恋、失恋の繰り返し。良い天気になってやっとうまくいくかと思えば、本命との関係はすでに乾いていたという皮肉。
そういえば、舞台はクリーニング店だったか。
何はともあれ、すべてを知り尽くしているような、階段での母の愛にはジーンときた。
失恋の悲しみ、失恋直後の恋の錯覚、浮ついた気持ちで女性(男性)と関わると痛い目に遭う、結局本命を目の前にすると嘘はつけない。
洗練された恋愛の教科書のような作品である。