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トゥー・ラバーズのkoyaのレビュー・感想・評価

トゥー・ラバーズ(2008年製作の映画)
4.5
映画は、ホアキン・フェニックスが橋から飛び降りて自殺しようとするシーンから始まります。
もう不完全な人間を演じさせたら、ホアキン・フェニックスだなぁと思います。どこか病んでいる人という感じが台詞になくてもよくわかるのです。

ホアキンは、躁鬱病で4か月前から実家の両親の家にいる。
家はドライ・クリーニング屋をやっていますが、ホアキンは遺伝子検査で子供ができても長生きできない病気を持っていて、そのせいで2年前、婚約破棄され、自殺未遂。父の仕事を熱心に手伝うかというと、なんだかもう、やる気なくてふらふらしてるし、家では肩身が狭いしで憂鬱な毎日。

そんなホアキンでも2人の女性が現れる。
正反対と言える2人の女性の間を感情がふらふらする男、という訳。
なんかどっちを選ぶのか、または選ばれるのか、というのがスリリングで状況はコロコロ変わる。

原作というかベースになったのはドストエフスキーの短編『白夜』
ホアキン・フェニックスは恋をしてもなんだか、立ち直る事ができずにいつも不安そう。

母を演じたのがイザベラ・ロッセリーニで、息子が心配なんだけれど、見守ることしかできず、口も出せない・・・そんなもどかしさを抱えた一家が繊細に描かれます。

『Her』も大作映画ではないけれど、いい映画でしたが、この映画も苦い大人の映画で、ハッピー・エンドなんだか、よくわからない、そこが余韻となるいい映画でした。
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