アキラナウェイ

トゥー・ラバーズのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

トゥー・ラバーズ(2008年製作の映画)
3.5
なかなか手が出ないラブストーリー。
またまた出ましたU-NEXT配信終了の文字。
しゃあない!!
観るかっ!!

婚約者に去られた男は失意により自殺未遂を繰り返し、実家に帰って来た。彼の名はレナード(ホアキン・フェニックス)。両親の友人の娘サンドラ(ヴィネッサ・ショウ)がそんな自分に好意を寄せてくれていると知る。一方で同じアパートに住むミシェル(グウィネス・パルトロー)に惹かれていくレナード。2人の女性に揺れる恋心。レナードが辿り着いた答えとは—— 。

病んでいる役を演らせたら、やっぱり抜群に上手いホアキン。

冒頭、桟橋から海に身を投げるレナード。
勢い良く飛び込むでもなく、海に誘われるまま、ぬるりと身を投じる姿に、彼の心の闇の深さを知る。

泳ぐ視線、落ち着きのない素振り。
それでいて、クラブに繰り出せば、上機嫌にジョークを飛ばし、踊り出す。躁鬱病なのだろう。何せホアキンの演技には毎度の事ながら心を掴まれる。

どれだけ取り繕ったって、過去の恋愛に傷付いて、親の庇護の元、子供部屋で暮らす、所謂"こどおじ"。上等なレストランでマドラーをストローと勘違いして、口を付けた途端に、ウェイターに「本物のストローを持って来ましょうか?」と言われる辺りなんて、良く出来ている。

父親の経営上の発展を考えれば、家族ぐるみで仲の良いサンドラと身を固めるのが安全牌。

不倫関係を続け、妻と別れてくれない愛人との悩みをレナードに打ち明け、彼の心を惑わせるミシェルは魅惑の高嶺の花。

冴えないレナードに訪れたモテ期。

面白いのは、器用にも2人の女性の合間を行きつ戻りつするレナードなりの駆け引き。

愛する道を選ぶのか。
愛される道を選ぶのか。

最近は皺も目立つ様になったグィネス・パルトローも、この頃は美のピーク。それにしてもミシェル。狡(ずる)い女(ひと)だ。

親同士は、サンドラとレナードをくっつけて、レナードの父親の稼業であるクリーニング店の事業を拡大させようと計画しているけれど。彼が堪らなく惹かれるのは、ミシェルの方。

終盤の展開が実に切ない。

恋って、人生って。
本気だったり、打算だったり。
何をもって幸せと言うのだろう。

多くは語らずとも、全てをお見通しのレナードの母親が素晴らしい。

ラストシーンの切なさと遣る瀬無さが堪らない。