悪魔の毒々クチビル

幽幻道士(キョンシーズ)の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

幽幻道士(キョンシーズ)(1985年製作の映画)
3.7
「死んだ人間様のお通りだ~。生きてる者は道を開けろぉ!」

孤児4人を連れて大道芸をしていた親方がキョンシーに殺され、子ども達が道士のお爺さんに引き取られるお話。


と言う訳でこの前の「霊幻道士」に続いて早速こちらの方も。
プライムで吹替え版しかなかったけど、時代を感じる子どもの頃から聞き覚えのある懐かしの声優陣、多分勝手に心の声をアドリブで入れちゃうラフさ、そして何故か無駄に粗い画質もVHSっぽさがあってそれすらも何か良いよねと思えちゃうからノスタルジーってこわい。
演出やBGMなんかは、不思議と初期の「ドラえもん」の映画を観ている気分を思い起こさせました。

シリーズの顔である少女テンテンは吹替え補正がありながらも確かに可愛いらしかったですが、こっちはこっちで相変わらず各キャラが濃い。
チビクロ、チビトラ、出っ歯、すいか頭の4人の弟子達も分かり易いし、ギャンブル狂ながら最期くらい人の役に立とうと命懸けでキョンシーに立ち向かう親方も良い。文句言われながら4人にとっては親代わりな存在な訳だったし。
そして意地悪ながらその親方に命を救われ、親方の棺に号泣しながら感謝を伝えるおデブ署長等々、憎めないキャラはこのシリーズでも健在。
4人が背伸びしてテンテン口説いているシーンとかはシンプルに面白かったです。
すいか頭とテンテン役の二人が実の兄妹なのを踏まえて観ると尚面白い。

「霊幻道士」から派生した作品ってことでキョンシーの描写は共通点が沢山ありますが、毎回息を止めて逃れようとするも誰かしら我慢出来なくなって見付かっちゃうからあれ意外と無意味な気もする。

まぁ4人のイタズラのせいで結果的に親方が死んでしまったり、テンテンが術をミスったせいで4人が死にかけたりと結局この子らのせいで事件が巻き起こっているのはもうご愛敬って事にした方が良いのかもしれません。
終盤もとにかく物語を良くも悪くも引っかき回すし。

キョンシーとのバトルにおけるアクションは「霊幻道士」程ではありませんが、4人の子ども達が儀式で特殊霊魂になってからのバトルは音楽や白塗りメイクや奇抜なダンスなんかが相まって、めっちゃシュールで妙に怖い。
描き方はコミカルな反面、子どもが普通にキョンシー(親方)の肉喰い千切って脳が露になってますけどもそれは。
一方で子どものチンチンにはしっかりぼかしを入れておりました。

あとあの世とこの世を繋ぐ扉が紙製なのをひた隠しにせず、堂々と文化祭クオリティを放っていたのが潔くて好き。

作品自体は「霊幻道士」の方が好きでしたが、これはこれで緩くて楽しめました。
こっちは2も今作のラストからまんま続く展開ぽいので、2以降はこっちから観ようかな。