O次郎

みな殺しの拳銃のO次郎のネタバレレビュー・内容・結末

みな殺しの拳銃(1967年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

アウトローに人生を翻弄される三兄弟のマグマの如き反骨心がと慟哭を描くハードボイルド映画!!


 ヤクザもの同士が互いのメンツのために小競り合いをエスカレートさせ、やがて総力戦に行きついてしまうピカレスクロマンです。
 もしこれが任侠映画であれば、巨大な敵組織を向こうにして先方からの苛烈な嫌がらせに黙々と耐え抜いてフラストレーションを溜めるも遂に掛け替えの無い仲間の犠牲が出てしまい、とうとう最後に捨て身の斬り込みへ…という流れなのですが、本作では彼我の戦力差はあれど序盤から結構な応酬が展開されます。
 そして本作の最大の見どころが、主人公竜一(演:宍戸錠さん)と彼と浅からぬ仲の白坂(演:二谷英明さん)との愛憎相食む邂逅です。
 かつては赤沢興業のヒットマン二枚看板として鎬を削ってきた仲であり、今は白坂と連れ添っている紫乃(演:沢たまきさん)を奪い合った仲でもあります。
 彼女がママを勤めるバーで酒を酌み交わし昔を思い出しつつも、一方で赤沢の幹部としてなんとか竜一の矛を納めさせようとする白坂と、その一方であくまで己の面子を貫いて袂を分かつ決意を口にする竜一…。
 今の目線からすると銃撃戦の迫力は見劣りするかもしれませんが、瞬く間に皆殺しの双方全滅に行きついてしまう呆気無さは一周廻ったリアリティーがあり、アウトローの潔さと空しさの同居する荒涼とした幕切れが余韻を残さず世界そのものを消し飛ばしてしまうデウスエクスマキナといった具合。


noteに詳しい記事を書いたのでよかったら読んでちょ。
https://note.com/o_jiro0704/n/n053b44532ecb
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