このレビューはネタバレを含みます
鈴木清順の助監督だった長谷部安春監督と、鈴木清順とコンビの撮影監督の1人・永塚一栄が撮影したノワール。
三男が誘拐されてからがググッと面白くなる。藤竜也のあのシーンや、クライマックスの対決は実にかっこよく撮られていて、ラストも余韻を残す。
ただ、前半はバストショットと引きが多く、中間サイズのカットがないのが気になってしまう(多分わざとなんだろう)。シネスコで左右の被写体のサイズを変えているカットは珍しい?うまいと思う。
この頃、東映はまだ任侠ものの時代だと思うけど、これは実録っぽい悪と悪の対決。「組織」に縛られ不本意にも対決せざるを得ない2人の男を描いて、封建制に対する批判にもなっている(東映にはこれができない監督もいる)。日活は内容的に東映の先を行っているようなところはあるけど、ヒットさせるのが東映なのかも。