仕事をしていたり、何かをやっているとたびたび『どん詰まり』を感じる時がある。
そんな時に個人的にピッタリなのがこの映画。
冬のニューヨークを舞台に地元警察とフランスの巨大麻薬団『フレンチコネクション』による攻防を描く、史実を基としたリアル系捜査モノの最高峰。
この映画が公開されたのはアメリカンニューシネマの時代。
当時のアメリカの情勢と治安は最悪だったらしく、夢物語よりも現実に目を向けた作品が受け入れられた時代だったから、正義の警官によるヒーロー劇なんてもってのほか。
そんな『どん詰まり状態』にこれが現れて、そしてその年のアカデミー賞を掻っ攫っていった。
まず、主人公のデカ、ポパイがとにかくもう無茶苦茶。
事あるごとにキレ散らかす性格の持ち主で、容赦なく人を殴り、ガサ状もないのに勝手にバーを捜査するガチでヤベー奴。
モデルになった人物はかなりの差別主義者だったらしいが、真逆の穏健な性格であるジーンハックマンが演じたのでそういうのは抑えられており(差別主義者であることには変わりないが)どちらかというと"自分が置かれている状況そのもの"にイラついてる状態に近い。
というかジーンハックマンは明らかにブチ切れてる。
「何で俺がこんな事しなけりゃならねーんだ!」
といった感じで。
演出もリアリズム第一のドキュメンタリーチックで、全編に渡り真冬の野外ロケをしたもんだからめっちゃ寒そう。
ラストも余韻なんてものはなく、大きな謎を残して終局となる。
この映画が映しだしたのは、そんな息も詰まる状況下で悪党共が理由もなく巨大な犯罪集団に真剣勝負を挑み、強行突破していく姿だ。
正義もヒーロー性もメッセージ性も皆無だけど、とにかく全身全霊。
この後どうなるか分からんけど、
自分の勘信じてやってみましょ。
そんな感じ。