TAK44マグナム

ヘルブレイン/血塗られた頭脳のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

2.5
ハカイダーみたいなビル・モーズリィ!


サンタクロースのコスプレしたキチガイがクリスマスを血に染める「悪魔のサンタクロース」シリーズ第三作。
一応、クリスマスが舞台となっているものの、殺人鬼はサンタの格好しないし、あまりクリスマスやサンタクロースがどうのこうのという内容ではございません。
また、二作目があまりに「一作目からのフィルム流用」が多かった(全編の3分の1ぐらい!)のに対して、本作の流用シーンはごくわずかで済んでおります。

監督は名匠らしいモンテ・ヘルマン。
「断絶」とかで有名らしいのですが未見です。
と言うか、ヒルゴンとか平気で撮ってますけど、本当に同じ人?
アメリカン・ニューシネマの旗手がどうしてこんな場末のB級ホラーを撮っているのかと言えば勿論ギャラのためなんですが、花形であるはずの殺害シーンはド下手でして、そういった部分は助監督にでも任せたんじゃないかという出来。

それよりも、本作はビル・モーズリィのためにあるといっても過言ではなくて、「人造人間キカイダー」のライバルであるハカイダーの如く、何故か頭が透明のプラスチックケースで脳みそが丸見えになっちゃった前作の殺人鬼リッキーを演じているんですね。
台詞が二言しかないので覚える必要がなくて楽だったかもしれませんが、そのぶん表情や動きだけで狂える殺人鬼を演じ・・・ているのかどうかイマイチ定かではない省エネ演技。
しかし、さすが存在感だけはあります。
何と言っても、「悪魔のいけにえ2」のチョップトップですよ!
ゴジラ大好きっ子らしいですよ!仲間じゃん!

そんなビルくんがですね、前作のラストで頭をふっとばされて死んだはずだったのに治療されて生きていたんですよ。
ずっと昏睡状態だったんですけど、よせばいいのに医者が超能力者を使って蘇らせようとするんです。
ジョニファー・コネリーのパチモンみたいな太眉の超能力少女ローラが、ビルくんの精神と同調する実験を試してみるんですが効果がないまま、ローラはハードロッカーみたいなロン毛のアニキと一緒に聖夜を過ごすため、お祖母ちゃんの家へと向かいます。
ローラは幼い頃の事故で目が見えなくなっていて、両親も他界してしまった可哀想な境遇でして、そんなことから他人を避けるところもあったり。まあ、たんなる気難しい娘なんですな。

で、ローラが出掛けた後、ついに眠りから覚めたビルくん。
とりあえず乱入してきたサンタ姿のオッサンを血祭りにあげて、自分を呼び起こしたローラのあとを追います。
道中、脳みそが丸見えでもヒッチハイクが出来たり、テレフォンセックスに精を出すオヤジを生首にしてさしあげたり、相変わらずのキチガイぶりの発揮するビルくん。
事態に気づいた医者が刑事と一緒にビルくんを追跡しますが、刑事は自動車電話がいかに素晴らしいアイテムなのか、その機能説明を始める始末で何がなんだかよく分かりません!
そして、ローラ達が買い物をしているうちに追い抜いたビルくんは、一足先にお祖母ちゃんの家を表敬訪問。
何も知らない優しいお祖母ちゃんは、脳みそケースを帽子で隠したビルくんを訝しがることもなく、料理をふるまったりして歓待しちゃいます。

そんなこんなで到着したローラ達。
でも、お祖母ちゃんの姿がありません。
ハードロッカーぽいアニキは一緒に連れてきた恋人と風呂にはいってご満悦(オッパイあり)、ローラは不安にかられます。
もう、この頃になるとローラの超能力者設定は完全にどこかへ置き去りです。
何の役にも立たない超能力・・・これなら「13日の金曜日PART7新しい恐怖」でジェイソンを手こずらせた超能力少女の方がマシです。
やっぱりテレパシーよりサイコキネシスだよなあ!
そんでもって、そのあとはよくあるホラー映画ですよ。
現れたビルくんとローラが追いかけっこします。
電気を消して、「これであなたも見えないわよ!」などという定番の作戦もあったりしますが、別にそれで何がどうなるわけでもなく、監督を引き受ける際に脚本もリライトしたらしいのに、なんなんだこの展開は・・・本当にモンテ・ヘルマンって名匠なの?

そして、なんで誰も頭のプラスチックケースを割ろうとしないのか・・・?
あんなにわかりやすい弱点もあったもんじゃないのに、そこが永遠のミステリーです!
ハカイダーには、脳みそがキカイダーの生みの親である光明寺博士の脳みそだからというエクスキューズがちゃんと用意されていたのが流石、石ノ森章太郎先生ですよね。
ただし、「キカイダー01」のギル・ハカイダーの事は忘れてください(苦笑)。ガッタイダーはデザインがトチ狂っているので、ちょっとだけ覚えておいてあげて欲しいですが(←まるで関係ない話)!


そうそう、DVDに山崎圭司の書いた紙っぺらが入っていたんですけれど、スターウォーズのオマージュが〜云々ってあって、どこがスターウォーズなんだよと思っていたら、ローラの危機の際、お祖母ちゃんがジェダイマスターの如く心の中に登場して「集中して力を使うんだよー」などと教示しだすもんだから、ここがそうか!と脱力した次第。

いや、超能力、ほとんど関係なかったよね〜(苦笑)。


セルDVDにて