てれ

イースタン・コンドルのてれのレビュー・感想・評価

イースタン・コンドル(1987年製作の映画)
3.9
ベトナム戦争で米軍が現地に取り残した武器庫を抹殺するため特殊部隊に動員された凶悪犯たち。ベトコンの手から掻い潜って成功すれば自由の身という約束をされ、いざ死地へ。

戦争ジャンル映画はそんなに観たことなかったが、これはかなり面白かったと思う。円盤買ってまで観た甲斐があった。

白茶けた土埃と生い茂る熱帯雨林の村で銃撃戦が続いていく。殺るか殺られるかの息もつけない緊迫した場面で全部が見所。
特にサモハン演じる部隊の兄貴分メンサンが葉っぱの茎を矢として使うシーンは最高にカッコいい! 原始的な美すら感じる。

「寡黙なところが 昔から好きだった」
過酷な状況で、一人また一人と死にゆく仲間との別れには哀しみが漂う。撃たれた仲間がメンサンに告げるこの言葉は、とても切ない。

なかなかハードな話だが、その中でユンピョウ演じる闇商人ギッ君は明るくて癒しキャラ。狂言回しのような役割で、武器に頼らず素手で戦っちゃうたくましさ。倉田保昭先生も出てるし、ユンピョウvs倉田先生のバトルはマジでアガるよ。

忘れちゃいけないのがジョイス・コウ様のゲリラ美女。鬼の形相でベトコンを刺しまくり撃ちまくる姉貴分で助演の扱いだが、彼女の演技がいちばん輝いていたと思う。英語版wikiには実際に本作で助演女優賞にノミネートされたとある。

他にも香港映画初心者の私でも知ってる顔がいっぱい。お堅くシブい中佐なラムチェンイン、サイクロンZの前身とも言えるキテレツな敵軍のユンワー、咥え煙草の兄貴分ユンケイ、監督業ではなく俳優として演技をするユエンウーピン、福星シリーズ同様色男なチャーリーチン等々。
酔拳2とファーストミッションでの存在感が印象に残っていたチン・カーロウも初々しくて可愛い。ちなみに彼は撮影中の爆発シーンで全身火傷を負い、治った直後に別シーンで飛び降りるスタントやってます。凄すぎる…

サントラも素晴らしく、サモハンとユンピョウをはじめとする出演者が歌う主題歌「禿鷹使命」には勇気をもらえる。大好き。

おそらく香港映画黄金時代だからこそできたとも言える規模の大きな作品であり、サモハン監督の隠れた名作でもある東方禿鷹。DVDスルーなんてもったいないし、ぜひ劇場で観たいです!
てれ

てれ