はぐれ

怒りの日のはぐれのレビュー・感想・評価

怒りの日(1943年製作の映画)
4.4
驚異的な構造美。その完璧すぎる画面設定に終始圧倒される。ライティングが織り成す強烈な陰影の凄みったらない。モノクロフィルム芸術の極致。
正直イングマール・ベルイマンがやりたかったことをパイセンのドライヤーが全部やり尽くしている感すらある。

魔女狩りを題材にして宗教を生業とした者たちの欺瞞と人間の奥底に住み憑く悪魔を炙り出す。最初にスケープゴートに差し出されるおばあさんの描写がリアルで怖いんだ。あの2階から轟いてくる叫び声。

タイトルの怒りの日。人間を天国と地獄へ選別するキリスト教の終末思想。そんな権限が人間にあるわけないし、ましてや人間が作り出した神にそんな権限があるはずもない、とでも言わんばかりのドライヤーの冷徹な眼差し。
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