猫脳髄

処刑!血のしたたりの猫脳髄のレビュー・感想・評価

処刑!血のしたたり(1988年製作の映画)
3.6
ご鑑賞の際はサムネイルをじっくりご覧にならないように。何と宣伝ヴィジュアルで盛大にネタバレするという異色のスラッシャー・コメディである。監督のスコット・スピーゲルはサム・ライミ「死霊のはらわた」シリーズで出演・脚本を担当している。

全編にわたって「志村後ろ!」と叫びたくなるシーンがちりばめられ、スラッシャー映画のお約束を茶化している。しかもクライマックスの追跡劇で流れるふざけたピアノ・リフたるや。こういう自己言及的な作品が増えると、ジャンル映画も爛熟期である。

閉店後のスーパーマーケットで、店員たちが謎の侵入者に一人またひとりと惨殺されていくというまことにシンプルなシナリオだが、見せ場であるゴア表現は、時間の短さが玉に瑕だが、なかなかの仕上がりである。搬入用エレベーターやミートスライサーといったスーパーマーケットらしいアイテムを用いての人体破壊を見せ場にしたのはセンスを感じる。

カメラワークも凝っていて、会話の切り返しのようなイナタいショットがあるかと思いきや、何と黒電話内部から電話する人物を捉えたショット(※1)や、クライマックスの追跡劇での「レジ八艘飛び」などは唸らせる。殺人鬼のキャラクターもネアカなのが好ましく、湿っぽさのないアメリカン・スラッシャーとして大いに楽しめる。なお、サムとテッドのライミ兄弟が、それぞれ精肉・青果担当の店員として結構がっつり出演している(※2)。

※1 モノの内部からのショットといえば、ダリオ・アルジェント「4匹の蠅」(1971)以来である
※2 もう一人のゲスト俳優ブルース・キャンベルはほんの一瞬の登場
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