ほーりー

社長漫遊記のほーりーのレビュー・感想・評価

社長漫遊記(1963年製作の映画)
4.1
生理的に……いやDNAレベルで馬鹿馬鹿しい映画が観たくなったので本作をチョイス(笑)

時々無性に三木のり平の「四郎はこれに~四郎はこれに~シロウハコレニ~シロウハコレニ~」のシーンが観たくなってしまう。

森繁社長シリーズを全部観たわけではないけど、最高傑作は『社長太平記』、集大成はこの『社長漫遊記』だろうと思う。

社長シリーズを観たことない人に最初にお勧めするとしたら自分は社長シリーズのエッセンスが全部詰まった『漫遊記』の方を挙げる。

アメリカ視察旅行から帰ってきたペイント会社社長(演:森繁久彌)はすっかりアメリカナイズされてしまい、会社の方針もすべてアメリカ式に変えようとする。

折しも自社の染料が多く使われた九州の若戸大橋が開通となり、記念式典に呼ばれた社長一行だったが……。

と書いてはみたものの、ストーリーらしいストーリーがないのが本シリーズの素晴らしいところです(笑)

社長が混乱を起こす→フランキー堺が怪しい外国人役で登場する→小林桂樹が彼女にフラれる→のり平の宴会芸、とその辺りは毎度おんなじパターン。

とにかくのっけからギャグの嵐。しかもそのギャグはいずれも文字で面白さが伝わりにくいものばかり。

痔の手術のくだり然り、ざるそばのくだり然り、塩沢ときにバーボンについての御高説するシーン然り、フランキーと商談する場面然り、ひっくり返って笑ったね。

ちなみに森繁の「だから私の体にはアメリカの血が流れているんだねぇ」は当時暴漢に襲われたライシャワー大使が輸血された時に言った「私にも日本の血が流れるようになりました」のパロディ。

だけど、これらのやり取りのどこが可笑しいのか他人に伝えられないのが悔しい(笑) というのも面白さの秘訣は間合いの良さにある。

森繁がバーボンを頼むときに「メイド・イン・U.S.A.かね?」とバーテンに訪ねて、バーテンが「はい、バーボンはアメリカにしかございません」と言われた時の森繁の間合いの巧さったらない。

そして極めつけが本シリーズの華である宴会シーン。本作の三木のり平の天草四郎の舞は、芸の凄さ+内容の馬鹿馬鹿しさではシリーズの中でもトップクラス!

■映画 DATA==========================
監督:杉江敏男
脚本:笠原良三
製作:藤本真澄
音楽:神津善行
撮影:完倉泰一
公開:1963年1月3日(日)
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