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熱狂はエル・パオに達すのadeamのレビュー・感想・評価

熱狂はエル・パオに達す(1959年製作の映画)
1.5
権威を嘲笑するスタンスでお馴染みのブニュエルが直接的に権力を否定する政治的な作風を見せ、"革命三部作"と称された50年代後半の作品群の一つ。
撮影中に体調を崩してそのまま急逝したジェラール・フィリップの遺作としても知られています。
カリブ海に浮かぶ島国を統治する独裁政権と反旗を翻す政治犯たちの攻防の最中で、理想に燃える自由主義の男とそれを取り巻く男女のメロドラマが展開される物語です。
政治劇は自身に向かないと語るブニュエルですが、クーデター後の駆け引きやタイトルが皮肉な意味を持つ結末などそれなりに見応えがあり、平凡な恋愛要素がその濃度を薄めてしまっているのが残念でした。
ジェラール・フィリップの美男子ぶりや、ヒロインの美しさをあまり感じられないのもロマンスパートが魅力に乏しい要因となっていた気がします。
フランス出資で持ち込まれた企画らしく、そのためかブニュエルらしい演出にも欠けていた印象でした。
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