emily

彼女は愛を我慢できないのemilyのレビュー・感想・評価

彼女は愛を我慢できない(2009年製作の映画)
3.5
 同棲中のマシューに振られたばかりのアデルは従妹ラシェルの部屋でお世話になる事になる。公園で大学生のピエールとの出会い、ベビーシッターの仕事をはじめそこで出会うジャック、正体不明のポール。そんな中で失恋を乗り越え前向いて歩きはじめる。

 ドキュメンタリーな色彩の中、閉鎖的なカメラワークと看板や配置にこだわった軽快でエスプリの効いたPVのような映像の数々。ポップでコミカル、アデルの洋服もおしゃれで、時折ミュージカル調の歌声や軽いステップが物語に寄り添う。

 アデルはいわゆる恋愛気質の女性で、それだけに生きている。狭い世界で住んでおり、従妹と同じ家を出て別々の道に歩いていくのが印象的だ。さらに登場人物の4人の男をジェレミー・エルカイムがすべて演じる事で、狭い世界の中で同じ場所を行ったり来たりしているアデルを客観的にコミカルに捉える事ができ、求めても求めても幸せはつかめないアデルに感情移入する。哀れで憎めない。いつだって一番大事な人はずっと寄り添ってくれていて、その存在に気づくことのないアデル。パリの街並みやおしゃれな小物の中で、ライトに描写されながらも、しっかりラストにメッセージを残してくれる。
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