メロス

弁天小僧のメロスのネタバレレビュー・内容・結末

弁天小僧(1958年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

歌舞伎の演目の中でも「白浪五人男」(青砥稿花紅彩画)が大好きなので、以前から観てみたいと思っていた作品。
歌舞伎の名シーンをどういう形で映画に取り入れるのかと楽しみにしていたら、めちゃくちゃお洒落な取り入れ方でびっくりした。
弁天たち五人の悪党が浜松屋を強請る相談をしている最中に、突然定式幕が開いて、それまでとは違う趣きの歌舞伎の舞台のセットになっている。それで登場人物たちが皆、歌舞伎特有の口調であの浜松屋の場面を再現し出して、最高に洒落てた。
弁天小僧と言えば!という長〜い名乗りの台詞をちゃちゃっとカットしちゃうのも、何かユーモアを感じて面白かった。
河竹黙阿弥の原作や歌舞伎の型をリスペクトしつつ、良い感じにアレンジし、哀しいけれど後味の悪くないラストになっていた。

そして何より、市川雷蔵が最高だった。昭和の銀幕には、とんでもない名優が居たんだなあ…。美しいのは元より、表情や目で語る演技に痺れたし、泣かされた。
弁天と浜松屋との親子の因縁。悪党だったかもしれないけれど、幸せになってほしかったなあと思ってしまう、雷蔵の弁天小僧菊之助だった。

そして偶然にも、作中で明らかになる弁天小僧の誕生日はまさに今日4月1日だった。
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