とらキチ

黄金の棺のとらキチのレビュー・感想・評価

黄金の棺(1966年製作の映画)
4.5
タランティーノが「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でアル・パチーノに「世界で2番目に偉大なマカロニ・ウエスタンの監督」と語らせていたセルジオ・コルブッチ監督作品。
南北戦争直後、南軍の将校だったジョナスは南部連合の再興を目論み、その資金集めのためと称し3人の息子達と北軍の現金輸送隊を襲撃する。その奪った現金を戦死した人物の遺体を運ぶという名目で棺の中に隠し、そして町で適当に見繕った娼婦を遺体の未亡人として同行させ、郷里を目指すのだが…
主要な登場人物が、馬鹿でロクでもない下衆い奴等だという事がよくわかってしまう冒頭の襲撃シーン。“大義名分”を掲げてはいるのだが、それすらも怪しく思えてしまうぐらいの無法者親子。そう、今作にはマトモな男達は一切出てこない。そうして大金を獲得することには成功するのだが、そこからの逃避行が、裏切りや疑心暗鬼の、まるで“因果応報”“自業自得”を地でいくような展開となっていく。そのサスペンスフルなストーリーの転がせ具合が実に面白いし、その結末には虚しさが漂う。
マカロニ・ウエスタンらしく、澄み切った青い空、明るい雰囲気でのオープンロケ作品なのだけど、ストーリーそのものは非常にスリリングで、まるで香港や韓国のノワール作品を観ているかのような味わいの作品。
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