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海辺の一日の遊のレビュー・感想・評価

海辺の一日(1983年製作の映画)
4.7
エドワード・ヤンの長編デビュー作
否が応でも余韻から抜け出せない、計算され尽くした圧倒的な語り
すべての文が精緻に紡がれた分厚い小説を読み終えたみたいな巨大な満足感

13年ぶりに故国へ帰ってきたピアニストの女性が、かつての親友から「13年分の話」を聴き続ける構成
映像の強さは言わずもがな、時系列行ったり来たりというハイリスクな手法を完全に掌握して「最も効果的な語りの順番を観客が混乱しないように描く」をやり切っているエグ技術 どの映画監督に弟子入りしてもいいと言われたら絶対エドワード・ヤン

要約してしまえば"どこにでもある夫婦のすれ違い"の中で、幸せの定義や哀しみの置き場を考え続けた果てのラストに「ひとつの結論」が出ていることが本当に凄くて、カッコいい 3時間弱で観客の精神状態を確実にひとつ標高の高い場所へ届けてくれる

英語字幕で汲めていないニュアンスも絶対あるから観直しまくる!!!
ちょこっと出てるホウシャオシェンがかまいたちの山内みたいでかわいい
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