きょ

天才マックスの世界のきょのレビュー・感想・評価

天才マックスの世界(1998年製作の映画)
5.0
青春の幕が上がる

ポスターが醸し出すB級お馬鹿コメディ感とはまるで反対の、上質な青春を描いた作品だった。
センチメンタルなシーンも独特の爽やかな空気感があるため非常に観やすい。

自由な感性と独創性を併せ持つマックスは、それゆえの孤独と、大人との関係性がリアルに描かれていた。
人とは違う為、他人を傷つけ嘘をついてしまう少年の姿は、どこか自分を重ねてしまった。自分は全然多才ではないけれど。

きっとマックスは監督自身なんだろう、演劇に夢中な姿を見てそう感じた。
作風は違えど、彼が愛したものは最新作まで共通して観て取れる。
演劇と映画を融合させた独特の作風は、学生時代から積み上がった経験とセンスからきているのだ。

選曲も素晴らしい。どことなくノスタルジーで、それでいて少年の行き場のない心を、どこか違う場所に連れて行くような、そんな安心感を覚えた。

決してよくある青春では無いが、ユニークな作風がこれを現実では無い、映画として認識させてくれる為、楽しむことができた。
また観たい。
きょ

きょ