backpacker

ドリラー・キラーのbackpackerのレビュー・感想・評価

ドリラー・キラー(1979年製作の映画)
3.0
クズ警官×酒&薬&女&キリスト教の組み合わせでヒットした『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』で人気を得たアベル・フェラーラ監督が、まだ世の中に認められる前の若者時代に作った長編第2作(なお第1作は『9 Lives of a Wet Pussy(邦題:エレクトガール)』というポルノ映画)は、チープ感ダダ漏れのスラッシャー映画。

主人公の売れない画家の青年レノを監督本人が演じ、「うおぉぉおどいつもこいつも金金金金うるせぇぇえ死ねぇ!」という積もり積もった鬱憤を発散させんと、浮浪者やホームレスを次々無差別に殺し、自身の内なる気持ちを発散させています。かなり八つ当たりですが。

兎の肉の解体シーンのグロテスクさはなかなかのもの。ドリルをギュルルンンン!と唸らせながらぶっ殺しまくるキチガイぶりには、思わずウゲェと顔を顰めたくなります。

同居人の女2にイラつき、家賃・電話代・電話代の督促をうざがり、アパートの上の階に越してきたバンドが昼夜を問わずかき鳴らすロックンロールに辟易とし、自分の作品を酷評した画商に失望と裏切りの逆恨みをきめ……半分以上自業自得なれど、爆発した感情の大放出には僅かな爽快感と多大なやるせなさがあります。

汚ねぇNYを大掃除しなくちゃ……というのは『タクシー・ドライバー』のトラビスでしたが、本作のレノも殆ど似たようなもの。
摩天楼と豪奢な世界で魅惑する大都市NYの暗部を映し出す、というところでも、なんだか似たような雰囲気を感じさせる映画でした。
backpacker

backpacker