フジマークス

13回の新月のある年にのフジマークスのネタバレレビュー・内容・結末

13回の新月のある年に(1978年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

エルヴィラは僕らの代わりに死んでくれたのだと勝手に思う。
エルヴィラの境遇は誰よりも絶望的のように思えながら、インタビューの内容は普遍的で、多くの人間に当てはまるようなものだった。
エルヴィラの人生は絶望的に終わったが、憧れや希望にしたがって、運命的に終着した人生そのものは、仕方がないものだと思う。
中盤に「自殺は人生の否定ではない。条件に不満があるのであって、むしろよりよい人生を望んでいる。」というニュアンスのセリフがあった。
しかし自殺することを、防ごうとする人がいたり、惜しむ人がいることを、観客は見届けることができる。だから自殺はしない方がいいと、自分は思える。
死に至るまでの数日間で、個々のシーンそれぞれに独自の語りがあって、要約できなさ、鑑賞の歯ごたえがあまりにもある。

尼僧が過去を明かしてくれるシーンの完成度高すぎる。計算し尽くしたカメラとセリフと人の配置が良い。
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