ベビーパウダー山崎

ディメンシャ13のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

ディメンシャ13(1963年製作の映画)
3.0
『サイコ』がヒットして、おそらくコーマン御大に「すぐにパクって違うものを作れや!」とか何とか言われて短期間&低予算でこれを撮り切ってしまうコッポラの映画な才能。物語を撮るのは面倒だから、普通ならもっとワチャワチャさせて、若い作家の勢いで誤魔化したくなるが、画も落ち着いているし、オチに向けてじわじわ進めているし、大人の役者を動かしてゴシックな雰囲気。20代前半のコッポラ、既に成熟している。
唐突に始まる物語、一幕すっ飛ばしているような冒頭が格好良い。どの表現でも、つかみ(ハッタリ)は大事。中盤で視点が変わる『サイコ』、後半はなんとなくマーロン・ブランドに似た役者(パトリック・マギー)が中心。白黒で人間だが蝋人形だがの判別がつきにくいのは、狙いなのか偶々なのか。コッポラは死に美学がある。