フッカー

イノセンスのフッカーのネタバレレビュー・内容・結末

イノセンス(2004年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

私がこの押井守という監督の作品に出会ってしまったのは、大学で出会った友人のせいだ。くそ、あいつめ、珍味のような物を勧めてきやがって。面白いではないか。彼のおかげですね。

攻殻機動隊の2作目となる映画
現実と虚構の差とは
自分が自分という認識とは
人々が自分を電脳化してネットに繋ぐことができ、自らの体も機械化してサイボーグになれるという近未来で、警察組織内部の独立部隊とも言える公安9課での物語。

愛玩用の少女型ロボットガイノイドが暴走。所有者を殺害し自らも自壊、いや自殺するという事件が相次ぐ。

倫理規程に背く行動をとったこのガイノイドに何が起きているのか。
ウイルスに依るものか、ハッキングか、それとも自我の芽生えなのか....


人間が電脳化して記憶を外部に保存しておくことが出来る以上、逆に記憶を読み込むことができる

「俺はこんな奴だい!俺は俺だい!」

こう言えるのは今まで自分が生きてきた記憶があるから。記憶としての経験があるから。それが不確かなものだったら?

「いや、仮に記憶がなくなったとしても俺という肉体的存在は残るさ!記憶が消えてもまた新しく自分を生きればいいのさ!」

その自分の体というのも機械化、サイボーグ化によってどこまでが自分のオリジナルかが分からない状況だったら?

この作品では
「自分の認識というものが脆弱になった場合、何が自己を自己たらしめるか。」
という事を突き詰めてくる。人間に近い人形という存在と対比させて。

これは難しい。
お話自体はガイノイド暴走、人形暴走事件を追うという警察ものとして楽しめる!
筋肉もりマッチョバトーのアクションがかっこいい!
という娯楽要素もあるが、このテーマに対する自分の答えが難しい。

俺は俺だよ!
という自信ってやっぱり自分の場合今まで生きてきた記憶とか、自らの体に残るものによって成ってるしなあ。

その記憶とか経験の上に自分の価値観みたいな物が出来上がってきて、
色んな出来事を認識したり、解釈してる。
「この経験を経たから、こういうとこに見逃さずに気付けるようになった!」とか。

そしてその自分の認識が乗っ取られたものとなったら?何をもって自分を信じるのだろう?

事実トグサが電脳をハックされ
疑似体験を見せられ続け、体験されられ続け?、バトーが疑似体験の迷路からトグサを救いだす。
そしてトグサは疑問に思うのだ。

「今ここにいる現実が、疑似体験の延長ではなく確かに物理現実だという証拠はどこにあるんだ」

だがバトーははっきり言う
「お前にだって娘がいるじゃないか」
彼は現実と虚構の差が余りないと感じつつも確かに現実は現実だという思いがある。

今まで現実と虚構の類似性みたいなテーマが多かった押井作品の中である意味これは、「そんな類似性があっても現実は現実足る」というメッセージを強く感じる。
だから攻殻機動隊2という続編的な意味が強いタイトルではなく、ある種別もの的な意味を感じるイノセンスというタイトルでOKが出たんでしょうかね。

まあイノセンスってのは人形それ自体は無垢だからかなあ。

だけどその根拠がどうも客観的にスッキリしない。
人形と人間の差
自己を自己足らしめるものとは。
明確には作中で答えを出していないように思える。自問自答の連続のような。

自我をコピーされた人形を殺すことに対しバトーが怒る場面がありますが、
確かに肉体を持ち判断を下す自我をもった人形を人間と見なすならその怒りもわかる。

しかし「だって人形になりたくなかった!!」という単純な叫びがやっぱり響いてくる。

もし人間の脳の機構や感情や認識が完全に解明されしきって、代替可能となったとしてもやっぱり人間として生きたいですよねえ。
理由は分からないけどさ。

まあそうして完全に代替可能になっちゃうかもという恐ろしさが今回の「人形に対する人の感じる恐ろしさ」ってことになるんでしょうが。
何をもって人間を代替可能と言うんですかね。人間と人形との関係。
にんげんって、なーーんだ?笑

とりあえず人間がいいな。犬とか人形じゃあ楽しめません!笑

俺としてはそういう現実と作り物虚構の差として自分を作り上げるのは、感情 という答えになるのだろうか。
同じ経験をしたとしても、抱く感情は違う。それが記憶から導かれてるとしたら結局曖昧なものだけど、とりあえず自分は感情の生き物だしなあ。

相手と自分に対して感情を抱けるのが人間の特性?
動物も感情あるしなあ
相手や自分の感情を理解した上で行動できる性質なのかなあ。
人間やっぱりおもいやりだよ!!みたいにとてもありきたりですが笑


何か少し中二病っぽいなと書いてて思いましたが、如何せん内容が内容だし押井さんの作品だしで、許して頂きたい笑

こんだけ書いててテーマに対して未だにはっきりした答えは出てません。
でも少し余裕ができたときに、作品みてこうして色々あれこれ考えるのも楽しいなあと。

なので、別の意見とか「それちがくね?」とか何でもドシドシ聞きたい!!笑

記憶も肉体も奪われ、脳だけが残ったとき。どうやってこれが自分だって言いましょうか?

とりあえず自分は全てリセットされても、気難しく考えずに笑って一から始められるようにいたいですね。また作り上げればいいよっ!って。
いや、無理か笑

楽観的に生きたいですね!
とりあえず次はそんな作品を見ようかな笑