阿房門王仁太郎

イノセンスの阿房門王仁太郎のレビュー・感想・評価

イノセンス(2004年製作の映画)
4.0
衒学的なセリフや思想ではなくその迷宮から脱出するアリアドネの糸を信念として持とうとしているバトーの孤独が核だなと思う。俺の人生はイノセントではなかった、賢明でも無かった。でも、だからこそ白痴美を誇る神様気取りで、子供の無邪気を誇り万事心得た様なキムなんぞには負けやせんぞ、神が提示する「理想」なんぞに屈しはせんぞと言う自負がアクションと折り重なり力強く響いてくる(但しそれも絶対ではなく、人形を見たり、子供の計画を聞いて揺らいだりする。これは生きるのに疲れる人間というものであるからだろう)
 この作品には前作の少佐や人形使いのような天才は居ない(少佐は一時助けに来てくれたが)。だからバトーとトグサの捜査は泥臭いのだが、これが「イノセント」ではない大人と言う者の宿命であり使命、釈迦の言う「犀の角の如く唯一人歩め」のような境地なのだろうと逆に勇気が貰えた。
阿房門王仁太郎

阿房門王仁太郎