押井作品に見られる哲学者、思想家、詩人などからの引用は、単に作品の世界観の深度を深くするためだけではなく、もしかしたら各キャラクターが義体化して、尚無自覚にするそのGhostの所在の確認作業なのかも知れない。
素子のGhostがネットの広大な海に消えた三年後のバトー中心の話。
バトーの役割は九課において、一番ハードボイルドだと思うが、その癖センチメンタリストで犬を飼うなど、孤独にも徹せられず、特に素子への気持ちなどは女々しい程にウェットだし、ある面においてはトグサよりも人間臭い。
今回のロクス・ソルス社の事件はてっきりセクサロイドの機能を施した事は、購買者からのクレームをスムースに処理する安全策で、最終的な本丸は自爆テロ用の兵器開発に繋がるのかと思っていたがそうではなく、人身売買までだったのは意外だった。
人間と人形の境界線がGhostをダビングした事で曖昧になる。
ダビング出来るGhostの意義とは?
人間の意識と存在の不確かさを問う哲学的映画でした。