ある日、ジョンとヘレン夫妻のもとへ、友人の登山家たちがやってくる。
彼らは雪男を発見して一攫千金を狙っており、ジョンに捜索を手伝ってほしいと依頼する。
調査隊が持参した雪男の牙と思われる証拠を見たジョンは、雪男がいるという山に向かう。
ヒマラヤに潜む幻の雪男(イエティ)を見つけようとする学者の姿を描いた作品。
ハマー・フィルムの御用監督ヴァル・ゲストが、どっしりと落ち着いた抑制の効いた演出で、冒険サスペンスものとして観応えある作品に仕上げている。
雪男がモチーフではあるが、いわゆる後年のハマー・フィルムのモンスター作品に含まれるような類の作品ではない。
雪男が大暴れするようなストーリーを期待すると、大いに裏切られます。
姿すらあんまりちゃんと見せないので、拍子抜けするのは覚悟しましょう。
終始、雪男の探索という物語の主軸をぶらさずに、前半は丁寧な描写の探索の行程、後半は極限状態での隊員たちの心理を細やかに、そしてサスペンスフルに描いていく。
そんなわけで、ホラーというよりもサスペンスで、個人的には嫌いではないですが、ラストは評価が分かれると思いました。
だが、ミステリアスな雰囲気とピレネー山脈でロケ撮影された自然の厳しさと美しさが映像に迫力を生み、現実味を帯びている点は高評価できますが、あまりにも特撮パートが少なすぎます。
これでビールとポップコーンを頬張る観客は納得したのだろうか。
この映画は、雪男の恐怖を描いた映画というよりも、雪山での高山病や酸素欠乏は一歩間違えると死を招きますよという教育映画を作るための出汁として、友情出演として雪男を登場させたような感じでした。
しかし山岳登山サスペンス映画としては、決して悪くはないと思います。