ねぎおSTOPWAR

花を宿す女のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

花を宿す女(2009年製作の映画)
3.6
これは、物議をかもすような映画であることは間違いないです。
それを「良い」と思うか「受け付けない」となるかは人々の感性なので・・。

韓国の権威あるイサン文学賞を獲得した小説を原作に映画化されたようです。
《菜食主義が高じて栄養失調と拒食症で入院する女性ヨンヘ(チェ・ミンソ)》を軸に、①旦那、②姉の夫のアーティスト、③姉の3人の視点から彼女を語る小説で、映画はそのあたり区分けは無く一連のストーリー化しています。
とにもかくにも、姉ジヘ(キム・ヨジン)の夫チョ・ミノ(キム・ヒョンソン)が、ヨンヘの体に花🌸を描きまくり、あげくセックスに溺れるわけです。
ざっと映画を調べるとそこらはすぐに出てくるはずです。多くの興味もそこなんでしょうね。しっかしヨンヘ役のチェ・ミンソさんはやっばいくらいに痩せているために、ミノが性欲を発動する意味がわかりません!!w

キム・ヨジンさんは「ヴィンチェンツォ」「梨泰院クラス」などに出演している方なので見れば「あーあー!」だと思います。


さあその向こう側にある彼女の心情や周辺人物の行動をどう捉えるかが”あなた”の勝負です😆

<以下は読み取ったものを書きます>











まず主人公ヨンヘがなぜこれほど極端に肉を嫌うようになったか・・
何度も家族から尋ねられるが、本人の口からは語られないわけです。

でも映像から読み取れました。
前半の方にヨンヘの子供時代の食卓が出てきます。
(*今作編集があまり上手じゃない。時系列がわからなくなりがちです)
そこでもなんら説明はないんですが、父親が家の裏手に行き「キャン!」という声を最後にシーンとし、ズタ袋を持って父親が歩いてきます。そして袋を持ってまた別の部屋に消え・・次のカットはたんまりと肉が入った器が配られ、「たくさん食べてね」みたいに母親が言い、どこか心配そうな顔で見る姉と、しぶしぶ食べ物を口に運ぶヨンヘという画になるわけです。
・・たぶんこれがヨンヘの肉嫌いトラウマの正体でしょうね。
プラス現在にこの父親が再度出てきて家族の食卓で無理やり暴力的に肉をヨンヘに食べさせようとするもんだから自殺未遂にまでなっちゃった。

このヨンヘの内面と行動から、話はふいにヨンヘの蒙古斑が残ってるかどうか問題に移ります🤣
スランプに陥っているミノはやおらヨンヘに興味を持ち、裸体に花を描くから、ヨンヘは「自分は植物になるんだ」という思考に陥るわけ。
ここらもどうも唐突に感じてしまうんですよね。
さてミノですが、アーティストとしての復活や成功というよりヨンヘとのお花セックスに溺れるのでもう仕方ない。
そしてヨンヘは肉が嫌と話しからついに植物への希望に生きようとすることになります。
彼女の思考に反して病院は動物としての彼女を強要するんですが、映画としてわかるんですけどちょっと描写がデフォルメし過ぎかも。
もう少し医者たちが「普通の医療行為をしているだけ」に見せたほうがむしろその行為の奇妙さが浮き彫りになる気がしましたねー。

全体としては、原作に引っ張られたのでしょうか・・エンタメ性には欠け、また人物のわかりやすさあたりにもう少し注力しても良かったかもしれませんね。


<776>