コーカサス

クイック&デッドのコーカサスのレビュー・感想・評価

クイック&デッド(1995年製作の映画)
3.7
荒野の田舎町で開催される早撃ちトーナメントに、父を殺した悪名高き権力者への復讐を企む女性ガンマンの復讐を描いた傑作西部劇。

正義のために戦うヒロインにシャロン・ストーンを迎え、彼女の父を殺した敵役にジーン・ハックマン、その息子役をレオナルド・ディカプリオが演じ、さらに牧師役としてラッセル・クロウといった豪華な面々は観ているだけで楽しい。

そして何より忘れてならないのが、鬼才サム・ライミ監督であるということ。
冒頭から『荒野の用心棒』を思わせるシーンでニヤリさせられ、決闘シーンでは貫通銃創した身体の穴から光が射すなど、いかにもライミらしい描写が満載、また使用する銃ひとつとっても余念 (または隙) のない懲りようで、ガンマニアの間でも高い評価を得ている。
ひとつ例を挙げるなら、チェーンファイアを防止するためシリンダーにグリスを塗る場面を、それもあれだけ超どアップで(それも美しく!)捉えた映画を私は他に観たことがない。
さらに“コルトSAA”に限って云えば、キッド(ディカプリオ)の二挺拳銃は勿論だが、ここはやはり美しいエレン(ストーン)の持つ美しいニッケルメッキ仕様のピースメーカーに軍配が上がるだろう。

この単純明快な物語と豪華俳優陣、ディテールにこだわり抜いた銃描写と過去の名作へのオマージュがふんだんに詰め込まれた“ライミ版西部劇”は、今後何度も繰り返し観たくなる90年代を代表する一本と云える。

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