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クイック&デッドのkirioのレビュー・感想・評価

クイック&デッド(1995年製作の映画)
3.9
10数年ぶりに見た本作だが、サムライミの手腕、俳優陣の若さに魅せられる一本だった

ストーリーは極めてシンプルで、女ガンマン・復讐・ガンファイトの三要素
数十発の銃撃戦ではなく、一騎打ちのガンファイトにこだわったことで、トリックショットさながらの演出が光る

イメージソースとしては、結構セルジオ・ルオーネ映画みたいな、王道マカロニウエスタン なのかもしれないが、決闘やキャラクターのバリエーションの持たせ方が見事
少年漫画のような潔さで観客を飽きさせない魅力。

面白さの要因はやはり、サム・ライミの存在だろう。後の大ヒット作『スパイダーマン』シリーズなどを生み出した彼だが、その経歴は主にホラー映画を主戦場としていた。ホラー映画というと、恐ろしいモンスターや猟奇的なスリルとサスペンスを想像しがちだ。だが、その中には多くの趣向を凝らした仕掛けが存在する。その理由として、考えられるのは前述したスリルとサスペンスの部分だろう。映画の中で、観客をハラハラさせたりドッキリさせる展開は非常に古典的かつ、その根幹に位置するもののように思える。そのため、それを駆使するホラー映画には、時に観客を誘導する巧妙なテクニックが必要とされる時がある。またサスペンスそのものも、形を変えて、様々なジャンルやドラマの中に組み込まれている場合が多い。ドラマにおいても、夫婦の危機や子供の失踪、犯罪を犯す犯人の真理状態や強敵と対峙するヒーローを時に当てはまるだろう。かつて独特な演出を極め、多くの名作を生み出したハリウッドの巨匠ヒッチコックもまた、サスペンス・ホラーの名手である。
 そのホラー映画の歴史の中で自主制作活動から始まったサム・ライミの作品は、予算や時間と引き換えに、そのアイディアと映像テクニックを極めることになったとだと思う。
 本作では、西武劇のガンファイトを土俵にそのテクニックが存分に生かされている。基本的にガンファイトと言えば、一対一の相手に対して一撃で決まる勝負が多い。そのため、日本のチャンバラや現代のガンアクションと異なり、早急かつ単調な場面になりがちに思える。その点に関して、本作は様々な可能性を示している。スローの表現やカメラのレンズ効果を活かした特殊効果などで、決着までを存分に盛り上げる。また特殊技術を活かした人体破壊描写や高速の弾丸に視点を移したカメラアングルなどで決着の爽快感を煽る。これらにはホラー映画だけでなく、古くイタリアで量産されたマカロニウエスタンと呼ばれる作品群の奇抜さも取り入れられているように感じる。これもまた、歴史的にはイタリアのホラー映画へと繋がる一幕となっている。
 ガンファイトでありながら、単なる当時のリメイク風に止まらず、見るものへの強い刺激を残す本作。それがハリウッドの西武劇にに置いて、異色ながらも古典的な手法が本作の魅力の一つに感じた。

そして、ラッセルクロウが若い
ほんとに青年牧師のような別人…
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