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ベルリン陥落 1945のmhのレビュー・感想・評価

ベルリン陥落 1945(2008年製作の映画)
5.0
ベルリン市街戦(1945年4月23日-5月2日)前後、ベルリンにいた女性たちが赤軍兵士にいいようにされていたことを具体的に赤裸々に書いた告白本が原作。全編に渡ってほぼ強姦(だけど映像表現はそれほどきつくない)という前代未聞の戦争映画。
男には秘密にすることや、自衛のためにパトロン探しや、女たちに生まれた奇妙な紐帯なんかを余すことなく描いてる。
吹き出物がある女性が「梅毒の症状って?」現実逃避でみんな笑い出すのとかすごすぎて声が出ない。
赤軍兵士たちを指して「戦争がなにかもわかってない」というセリフも強烈だった。
・赤軍兵士と一緒に戻ってきたドイツの共産主義者。
・友情?を示す男同士の口づけ。
・大粛清の流れで告発されたらシベリア送りになること。
・赤軍兵士の生殺与奪を握ってるコミッサール。
このあたりは説明無しなのいさぎいい。
女性の同志が多く帯同しているというくだりがある。おそらくインテリ層なんだろうね。彼女たちがなにもいってくれないどころか、好意を寄せている男を誘惑した女として見られる絶望的な状況まで描いてる。
作中時間は一ヶ月くらいありそうに思えたけど、史実と照らし合わせると十日前後のできごとなのかな? 他の映画でいうと「ヒトラー ~最期の12日間~」とぼほぼぼ同じ時期で、これはあの映画の地上版とも取れるようになっている。
モンゴロイドの兵士や、部下がする強姦を認めてる将官など、ここまでリアルなソ連兵は見たことないレベルの仕上がりだった。
ニーナ・ホスは「東ベルリンから来た女(2012)」でもめちゃくちゃ自転車こいでたと思ったけど、こっちのほうが先だった。
ジャケと邦題と星の数から、B級戦争映画だとばかり思ってたので、重厚かつ野心的なコンセプトで余計驚いた。
とにかくすごかった。
面白い!
mh

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