ぬ

少年と犬のぬのレビュー・感想・評価

少年と犬(1975年製作の映画)
3.8
『少年と犬』というほのぼのほっこり癒やし映画にしかなりようのなさそうなタイトルですが、その実、第4時世界大戦後の荒廃した世界をさまよう、性欲有り余りアホ少年ヴィックと、テレパシーで話す一人称が「我輩」のポップコーン大好き博識皮肉屋モジャモジャおじいちゃん犬ブラッドが主役の、おもろディストピア映画でした。
犬によって成り立っていると言っても過言ではない。
エンディング「えぇ!?」てなった、まぁ、そっちを選ぶだろうねぇ…
しかしミソジニー的と言われればそうだと思う、それすら狙いだったらすげーけど。

荒廃したパッサパサの大地で野蛮なヤツらがヒャッハーしている地上世界からはじまり、マッドマックス的かと思いきや、地下世界の扉を開いたところからは、どちらかというと『未来世紀ブラジル』とか『キンザザ』とか『ゼロ・シティ』みたいな、ナンセンスブラック・コメディ色強め。
めちゃめちゃ低予算感ただよう。
セットに金かけられないからか、メイクや衣装でどうにか頑張ろうとしている。

ヴィックとヒロイン?クィラのベッドシーンが間接的な描き方かつ、その近くにいる犬のブラッドが「繁殖行為は醜悪だ…」とかつぶやいてんのがめっちゃ面白くてツボでした。
ブラッド良キャラすぎる。

地上は文明が衰退しているが、地下世界"Downunder"は文明が発達していているんだけど、しかしどちらにせよ倫理観は死んでね?っていう。
地上のような無秩序な社会であれ、そんな管理された社会であれ、どちらにせよ女性や弱者は利用されてるような厳しい社会だというのは、言い得て妙かも。
地上の無秩序ワールドを賛美している映画なのかこれは?
「地下は社会が発展してるつっても結局、様式ややり方が違うだけで、やってることは野蛮な地上と変わらず、暴力的な権力の奪い合いじゃん」てことなら同意できる。

まじで10年以上前から観たかったんだよ…ありがとうU-NEXT様…
ぬ