camuson

北京原人 Who are you?のcamusonのレビュー・感想・評価

北京原人 Who are you?(1997年製作の映画)
4.0
バカ設定エンターテインメントとしてはよくできていると思います。
序盤はドキュメンタリー風で、真面目を装いながらも
丹波や蛾次郎の適切な配置や、
科学的考証とは無縁の雰囲気重視のインチキSF感など
随所に不真面目映画としての布石を打っておきつつ、
いざ北京原人の復活に成功してからは、やりたい放題です。
監督やりたい放題です!



本来それが入り込む余地が無さそうなTPOにおけるエロ事象が、
マンネリ化で鈍磨してしまった我々の感覚に対して、
ご褒美的刺激を与える現象は、よく知られているところですが、
本作品はあざといまでにそれを利用することで、成功した事例だと思います。

例えば、山に逃げ込んだ北京原人を捕獲しようとするシーン。
緒方直人演じる主人公科学者が、同じ生き物、仲間だと意思表示するために、
荷物と服を捨てパンツ一丁になり、近付こうとするのですが、
何故か一緒にいたヒロインが、こともあろうか、真似して裸になっています。
あたかも、ごく自然な流れのように装っていますが、
状況としてはかなり不自然で、不意を突かれます。
だがそれがいい。
ヒロインの科学者としての純粋さ、健気さを
エロに昇華させたところに新鮮味を感じます。

そして極めつけは、北京原人の♀です。
現代科学によって甦った北京原人は夫婦とその子供の3人で、
それぞれ直立歩行で移動し、全身に毛が生えているのですが、
毛はあまり濃くなく地肌の9割くらいは透けて見えます。
当然服は着ていません。

♂の風貌は、ヒトの男性の体型とは大きく異なり、ゴリラのように筋骨隆々です。
よって、必然的に役者は筋肉の着ぐるみを装着しています。
顔の骨格も北京原人に似せるために相当盛っていて、
地の顔がまったく判別できません。

一方、♀の風貌は、体型がほぼヒトの女性と同じという勝手設定があるようで、
必然的に着ぐるみではなく、小松みゆき(当時26歳)の生の体がベースとなっています。
全身薄い毛で覆うメークがされていますが、乳房には毛はなく露出しています。
日光や風雨に晒された感じはまったくなく、なまめかしいです。
個体が移動するたびに、そこだけが他とは違う振動周期で上下左右に揺れ動くため、
いやでも目に飛び込んできます。

顔は、眉のところを出っ張らせる特殊メークをしており、
北京原人に似せようとしたアリバイは見て取れますが、
体同様になるべく素材を活かすという選択がなされています。
地の顔がわからない程にメークを施したならば、
露出度的には「けっこう仮面」の類型となりますが、
素材をなるべく活かした北京原人メークは、
羞恥プレイ面で、より苛酷なものになっていると妄想します。

ストーリー上は、お色気の類は一切ありません。
ですから、ナマおっぱいや毛で覆われた裸体がなくても話は成り立ちます。
だが一見不要だからこそいい。強引な設定が味わい深いのです。
それがなかったら、凡作に終わっていたでしょう。
camuson

camuson