マヒロ

テナント/恐怖を借りた男のマヒロのレビュー・感想・評価

テナント/恐怖を借りた男(1976年製作の映画)
3.5
古アパートに住むことになった男・トレルコフスキーは、管理人からその部屋で前の住人が投身自殺を試みたということを知らされる。良からぬものを感じ取ったトレルコフスキーは身を投げた彼女について調べてみるが、やがて妙な妄執に囚われていく…というお話。

主人公をなんと監督のポランスキーが自ら演じているんだけど、人は良さそうなもののいかにも小心者で神経質っぽいところがぴったり。物語は主人公の一人称視点でずっと続いていくので、狂っているのは周りなのか自分なのかが分からないところが何とも気味が悪い。ポランスキーは『ローズマリーの赤ちゃん』で多干渉すぎるが故の狂気を描いていたけど、こちらでは思わせぶりで肝心なことは何もしてくれない都会特有の冷たさが狂気を生んでいて、似たような題材でもどこか違ったテイストだったように思えた。

ラスト付近、完全におかしくなった主人公の姿もインパクト強かったけど、一番印象に残ったシーンは途中、公園にてワンワン泣きじゃくる子供を突然ひっぱたいて更に泣かせるというシーン。主人公の精神が不安定になっているということを表しているのかもしれないけど、妙に唐突にぶっ込まれるもんだからなんだか笑ってしまった。

(2015.222)
マヒロ

マヒロ