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テナント/恐怖を借りた男のhrdのレビュー・感想・評価

テナント/恐怖を借りた男(1976年製作の映画)
4.0
 ローズマリーの赤ちゃんといい反撥といい、アパートメントは凄い魅力的に感じる、面倒な隣人は要らないけど。
 女性が窓から飛び降りて自殺をした部屋に住み始めたトレルコフスキーは、主にアパートの住人のせいで段々被害妄想が激しくなり、遂には自殺してしまう話。
 
 ロマンポランスキーは人間が精神錯乱していく様や人間不信になるのを描くのが本当にうまくて、何が真実か分からなくなる。途中何度か仕事行かなくて良いのかい、と突っ込んでしまうほどフラフラしていた。女装をして這いずり回りつつ自分の部屋に戻っていく様はまさに狂気そのもの。
 トレルコフスキーが真面目すぎるからこそというのもあるけど、劇中で友人などの部屋が三つ登場し、広くて苦情を気にする必要がなかったり、そもそも苦情を気にしていないなど、嫌でも自分の状況と比較してしまったのも気が狂っていく要因ではあったはず。
 映画館で「燃えよドラゴン」のブルースリーによるアクションを見つつ、イチャつける精神が凄いよ。マンソンファミリーに殺されたかつての妻シャロンテートとブルースリーは関係がある訳で、ポランスキーは一体どんな思いでこのシーンを演じていたのだろうか。
 私も何回か吸っていた、フランスといえばのジタンとゴロワーズは最近日本から撤退してしまいましたが、映画でゴロワーズをみんなが吸っているのは感慨深い。いつもあの喫茶店にはゴロワーズが無くてマルボロがあって、ゴロワーズが吸えていたら何か結末は変わっていたのだろうか。
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