特濃ミルク

テナント/恐怖を借りた男の特濃ミルクのレビュー・感想・評価

テナント/恐怖を借りた男(1976年製作の映画)
4.4
 主人公トレルコフスキーはあるいわくつきのアパートを間借りすることにした。そこでは前の住人であるシモーヌが飛び降り自殺をしたのだ。彼女は何故自殺をしたのか?その答えを探そうとしていた訳ではないが、トレルコフスキーは生活を送る中で段々とアパートの異常性に気づき始め….。
 同監督の「反撥」もそうだけど、周囲との軋轢の中で主人公のパラノイアが加速するにつれて、次第に夢と現実の境界が曖昧になってくる展開が見られる。(主人公は徹底的に被害者にされる)そのせいでこちらも少々混乱するのだが、まあ明らかに主人公がおかしくなっていってる事だけは分かるので、「信用できない語り手」だと割り切って物語を楽しむことができる。もう一回見て答え合わせをするのも良さそう。(まあ多分見返しても、ここでおかしくなった!という明確な線引きは出来ないだろうが…。)
 じわじわねちねち精神を蝕んでいく展開もそうだが、とりわけ終盤からラストにかけての勢いが素晴らしい。あれは顔しかめちゃう。ラストシーン自体も割とベタだけどあれしかないって感じ。良作ホラーだった。
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