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テナント/恐怖を借りた男のSatoEmikoのレビュー・感想・評価

テナント/恐怖を借りた男(1976年製作の映画)
4.2
真面目なのだろうがパッとしない、どこか影のある主人公が、ようやく探し当てた新しい部屋は、以前の借主が飛び降り自殺をした部屋だった。妙に生活音に厳しい住人たち、そこかしこで感じる自殺した前の持ち主の存在…ゆっくりと積み重なる違和感はやがて頂点に達し、ジェットコースタのように恐怖と狂気の奈落へ急降下する。

ポランスキー演じる、幽霊のような薄ぼやけた存在感の男の心の隙間に忍び込んだ、地獄から湧いて出てきたような悪夢がとにかく不気味。前半、ゆっくりとほんの小さかった悪夢がじわじわと成長していき、後半いっきに爆発的に主人公の心を支配していく様は圧巻。ラストシーンには思わず鳥肌が立つほど。
引くほどの薄気味悪さが大好物な映画。
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