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テナント/恐怖を借りた男のRのレビュー・感想・評価

テナント/恐怖を借りた男(1976年製作の映画)
4.8
最後ものすごゾゾゾっとするサイコスリラー。フランスに住む真面目なポーランドの移民が新しく住み始めたアパートは、前の住民が自殺した部屋。物音に敏感ですぐに苦情を出す住民、気に入らない住民を署名を集めて追い出そうとする住民、気難しい大家に、不気味なコンシェルジュ、騒ぐのが好きな同僚たち…。様々な心理的圧迫で、徐々に男の精神が追い詰められていき、現実に妄想が割り込み始める。やがて自殺した女に自分を重ねて気が狂っていく男の世界を、主観的なヴィジョンを中心に据えて描いた作品。前半、ジリジリと男が狂い始めるあたりから少しずつ違和感が増し、中盤から後半にかけて崩れ始めるバランスと、いびつな世界観は見応え抜群! 最終的にはシュールレアリズム的な強烈な演出でホラーしててうおーーーーと寒気&感動。ダークで冷たい映像のムードがすばらしく、カメラワークも最高、音響も物音や声の響きの細部まで高度に洗練されてて、これぞまさにマスターワーク! さまざまな伏線が巧みに張られる前半も、冴えまくったキレキレの後半も、2回目以降の鑑賞でさらに楽しみが深まるの確実やわ。近々もっかい見よっと。いやー最後はほんますごい。ひやぁーーーー。反撥やローズマリーの赤ちゃんの男版みたいな感じ。
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