ふっくー

テナント/恐怖を借りた男のふっくーのレビュー・感想・評価

テナント/恐怖を借りた男(1976年製作の映画)
3.8
76年にロマン・ポランスキーが監督、そして自ら主演を果たしたサイコスリラー。

1人の真面目な青年トレロフスキー。彼は空き家を借りるが、その空き家は前の住人が投身自殺を図った曰く付きの部屋であった。
そんなことはあまり気にしないトレロフスキーはその部屋を借り普通に生活を始めるが、うるさくしていないのに、騒音がうるさいなどの隣人の苦情に悩み始めていた。。。

きっかけはマルボロ。。。。。

これはロマン・ポランスキーらしいいやらしい映画ですね。真面目すぎる男がだんだんとおかしくなっていく様が描かれるのだけど、見る人によっては色んな解釈ができる面白い作りになっている。
隣人が苦情を言ってくるのは、新しく住んだ自分を良く思ってなく、嫌がらせをしてきている。
投身自殺を図った前の住人シモーヌもそうした嫌がらせによって自殺を図ったのでないか。
自分もシモーヌのように自殺に追い込まれるのではないか???
そして段々と精神崩壊を起こしていく。というのが話の本筋なんですけど、
逆に違う解釈をとらえるのであれば、
この空き家自体に何か理由があるのでは??
幻覚、思い違い、この世の物とは思えない怪奇な力が、自分を精神的に追い込んでいるのではないか。そう考える事もできる。ただその怪奇の存在や、もちろんポルターガイスト現象なども起こらない。ただ一つ不可解なのは向かいのトイレで、一定時間無表情でこちらの部屋を見つめる人間の存在だけなのだ。

表面では1人の生真面目な青年トレロフスキーが真面目すぎるが故に、精神崩壊し、周りの親切が全て悪いものに見えてしまうとゆうジワジワとくる精神的苦痛が描かれているけど、実はそんな裏設定があるのかも?と思えられるのはとても面白い。

ラストシーンの入院している場面での絶叫が、冒頭のシーンと照らし合わせであり、何も明かされず画面がブラックアウトする終幕は、監督が「結末は自由に解釈してね!」と言わんばかりの不解決さであり、モヤモヤが止まらない。

この時代にこういった異色スリラーを作れるロマン・ポランスキーってやっぱ相当変態なんだと思う←褒めてます笑。

どんな解釈をするかは、見た人次第です。
ふっくー

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